6月6日(金)・7日(土)「自動車リサイクル環境フォーラムin北海道」
リサイくるまッチ統括本部代表の工藤洋行が、6月6日(金)と7日(土)両日に、札幌コンベンションセンターで開催された、「自動車リサイクル環境フォーラムin北海道」で、分科会の講演を行いました。当日の講演内容をご紹介いたします。
北海道自動車処理共同組合 相談役
リサイくるまッチ統括本部 代表
工藤洋行
リサイくるまッチ統括本部 代表
工藤洋行
はじめに
この度、2008年度国際サミット会議が北海道で開催され、主要テーマとして環境問題が大きく取り上げられた事もあり、自動車リサイクルに関連する業界人として、このタイミングに合わせて「自動車リサイクル環境フォーラムin北海道」を開催し、分科会の中で、「使用済み自動車の流通」と言うテーマで、話し合いの場を持つことが出来るという事は、誠に時機を得た催事と思われます。
自動車リサイクル法施行と「使用済み自動車流通」の相関関係について
過去から現在、そして将来へ
過去から現在、そして将来へ
【過去】
元来、「使用済み自動車」は廃車と言う呼ばれ方をしており、「廃掃法」上でも部分的な構成部品が、廃棄物となっていました。内訳としては、構成部品の70%程度は有価物であり、残る30%は無価物又は廃棄物となっています。有価物の殆どは鉄・非鉄が占めており、相場に左右されながらも廃車全体としては、有価で取引されてきました。
しかし、平成15年前後の鉄くず相場の長引く不況と、廃棄物であるシュレッダーダストの処理費用高騰によって、廃車は逆有償となり、廃車並びに廃棄物の違法な埋立て・廃棄・放置等が続出、社会問題にまで発展し、自動車リサイクル法成立の引金となって、平成17年1月の実施へと繋がっていったわけです。
【現在】 - 1
自動車リサイクル法が実施されると同時期に、鉄・非鉄等のスクラップ相場が、ジリジリと上昇し、史上空前の価格となっています。
しかし、この値上がりの背景には、東南アジアの旺盛なる鉄くず需要が、後押ししている事が大きく、世界的な需要増大ともなっています。そして、国内で発生する中古車及び廃車が、海外に流出しています。現状、市場経済に委ねる、という事でなんら対策は取られていませんが、今後、このままでは大変な事になると予想されます。
また、さらに懸念される事は、この異常ともいえる値上がりにつれて、異業種などが廃車の買取事業に、参入してきていることです。「使用済み自動車」が、無許可業者及び一部の悪徳業者によって、廃車手続や廃車処理が、本来の適正処理のルートではなく、違法な方法で中古車並びに、部品として販売及び輸出に、多数出回っている事実もあります。
【現在】 - 2
そして、現在、国内に於いても力の有る企業のみが、多くの廃車を集めることが出来ると言う、一種特殊な業界になりつつあります。ここで、私が申上げたいのは、過去営々と自動車の解体を適正処理し、自動車リサイクル法に於ける、業の資格取得の為、多大な設備投資をしてきた、圧倒的に多数を占める零細な企業が、このパワーゲームに取り残され、入庫の減少により事業が、成り立たなくなりつつ有る状況にあります。
また、折角多大な時間を掛けて作り上げてきた、リサイクルパーツ流通のインフラも、部品取り車輌の入庫減により、先行き非常に不安な状況となりつつあります。現実にリユースパーツの需要は、旺盛なものの供給が減少しているのが現状と言えます。
【将来】
現在の状況を一変させる、カンフル剤的な施策というものはなく、色々なことを試しながら各方面の力を頂き、基本的には「自分のことは自分で行うより、方法が無いのかな」とは思いますが、本日の分科会で皆様の意見を頂戴しながら業界として発信できる声を採択できればと思っています。
【検討案】1として
現状、市場原理に委ねて海外流出している中古車(実質、廃車と思われるもの)に対して何らかの歯止め策を施行するのはどうか。
わが国として、世界的資源の囲い込みによる原材料不足と高騰、並びに製品にする為の溶融燃料の高騰等、バージン材を素材より製造する事のコスト及び環境負荷等を考えると、ほぼ製品の状態にある廃車は、非常に有用な資源であり、これらを海外に流出さす事は、大きな視点からすると国益を損なうことではないでしょうか。
【検討案】2として
国内市場に於ける廃車流通を、適正処理業者である許可取得業者に、エンドユーザーよりダイレクトに廃車手続、廃車処理を受け入れるフローを作るのはどうでしょうか。
現在の廃車買取状況は、先にも述べた通りグレーな取引が横行し、最終的に処理業者の手元に戻り、適正処理ルートに乗せる頃にはとんでもない価格となっています。これがパワーゲームになって、零細業者の存続に危険信号を出す原因にもなっています。
上記、1案・2案共、根底に大きな問題を抱えており、これらを解消することで問題は大きく減少するものと考えられるので3案として、検討課題を提起します
【検討案】3として
現行の自動車リサイクル法では、使用済み自動車としてのジャッジは引取り業者が行うことに成っており、これが問題の根源に大きく影響している故に、法改正を踏まえた大きなテーマとするのはどうでしょうか。
引取り業者の段階で使用済み自動車のジャッジが、何らかの定義により明確になれば、現状横行している廃車のグレーな流通は減少し、1と2案共に解決し、大変な事になる前で、この問題を処理できるのでは、と考えられます。
最後に
表題には、自動車リサイクル法施行と「使用済み自動車流通」の相関関係//過去・現在・将来となっていますが、この度の使用済み自動車の流通フローが大きく変わった要因は、確かに表題の部分も相当大きく関係していますが最大の要因は、鉄鋼資源並びに原油等の国際的な高騰と、それに連動したスクラップ材の高騰が大きく影響しており、これらが沈静化し、逆にマイナスに転ずるならば又昔の適正処理フローに戻ることが予想されます。
しかし、大方の予想として、数年間はこの状況が続くだろうとの見方であり、解体業界のみならず国力の低下にも関係してくる事柄でもあり、早急なる解決方法を模索したいものと思っています。
また、自動車リサイクル法で新たに設けられた、順送りにリサイクル金額を還付する方式では、リサイクル券という金券に対する不祥事が、多々発生しており、デポヂット制による徴収も考慮すべき事項と思われます。
さらに、日本よりリサイクル後進国に輸出された自動車は、やがて現地で廃車処理される運命にありますが、果たして環境に留意した適切な解体処理を行っているかというと甚だ疑問であり、ある報告ではこれらの輸出された車がその国で多大な環境破壊を行っている、との事例も発表されております。
輸出国の日本としてはこれらの問題に対しても、応分の責任を持つことが必要と思われます。輸出時に最終使用者に還付されるリサイクル料金の取り扱い等も含めて、今後検討されるべき課題と思われます。
